寛容ー『インヴィクタス』~『ショーシャンク』を想い出して
一週間前の土曜、映画『インヴィクタス』を観に行った。一言、いい映画だった。
ここのところの、クリント・イーストウッドの映画を観ていて、この人は正統な映画の描き方を目指していることがよくわかる。それ以前の映画よりも、『ミリオン・ダラー・ベイビー』や、『グラン・トリノ』に、それは顕著だった。スピルバーグが『シンドラー・・』を描いたときや、コッポラが一連のロマンティックな映画を描くときほど、ロマンチストにはならないで、かといって、その結末には多少、死んじゃって良いのか・・・?と思わせるものがあるのだが、真剣に主題に取り組んでいるのがよくわかる。
だから、『インヴィクタス』を観ていても、実際にはマンデラが大統領になった時期という政治的背景が絡み、たまたま、ラグビーワールドカップの南ア開催とも重なるのだが、マンデラが出てくるなり、「武器は捨てるのだ」とか、「我々が白人を許せなくてはいつまでも国は変わらない」というような言葉が、実に重みを持ち、これが、イーストウッドの本心なのだということがよくわかる。このセリフを聞いて、私は震えていた。この言葉を、映画の中で語らせた、そのことに。
そして、マット・デイモン扮するラグビー代表チーム主将が、マンデラの居た独房を訪問する。結局、彼は何を考えたか分からない。でも、その心情を察すること、その行為を観ている我々に提案しているように思えた。
そして、「不屈の精神」は、ガンジーを想い出させながら、更に、牢獄と、モーガン・フリーマンの組み合わせが『ショーシャンクの空に』を思わせるのだった。
このことについては、また別のときに話してみたい。
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